群馬大学大学院理工学府 分子科学部門 有機合成化学研究室
Division of Molecular Science, Graduate School of Science and Technology, Gunma University
所在地 〒376-8515 群馬県桐生市天神町1-5-1
WEBサイト http://www.chem-bio.st.gunma-u.ac.jp/
構成メンバー 教授:網井秀樹、助教:杉石露佳
TEL 0277-30-1280
e-mail address amii@gunma-u.ac.jp
フッ素関連研究情報
銅触媒クロスカップリングによる芳香族フルオロアルキル化反応の開発
(I) 銅錯体形成による芳香族トリフルオロメチル化反応の高効率化
 有機化合物へのフルオロ基、トリフルオロメチル基などの含フッ素官能基の導入は、医薬、農薬、及び機能性材料開発において重要な反応である。特に、芳香環に直接トリフルオロメチル基が結合した化合物は実際、数多くの医薬・農薬に利用されている。そのため、ハロゲン化アリールから遷移金属触媒によって位置選択的に直接トリフルオロメチル基を導入する簡便な方法の開発が必要である。これまでのトリフロオロメチル基導入反応においては、触媒の反応効率が悪く、触媒の銅塩を1等量以上必要としていた。重金属化合物の使用量削減を目指し、私たちは錯形成効果を活かして、触媒的芳香族トリフルオロメチル化反応の高効率化に取り組んだ。私たちは、有機ケイ素化合物を用いて、触媒量の銅錯体によって進行する芳香族トリフルオロメチル化反応を報告した。さらに、フルオラール由来のヘミアミナール誘導体が銅触媒クロスカップリング反応に有効に働くことを見出した。

  M. Oishi, H. Kondo, and H. Amii, Chem. Commun., 45, 1909 (2009).
  H. Kondo, M. Oishi, K. Fujikawa, and H. Amii, Adv. Synth. Catal., 353, 1247 (2011).


(II) 芳香族ジフルオロメチル化反応の開発
 芳香族化合物へのジフルオロメチル基導入法を開発した。具体的には、ヨウ化アリールとα-シリルジフルオロ酢酸とのクロスカップリング反応、それに続くエステル部位の加水分解と脱炭酸反応を組み合わせ、芳香族ジフルオロメチル化合物に誘導した。

  K. Fujikawa, Y. Fujioka, A. Kobayashi, and H. Amii, Org. Lett., 13, 5560 (2011).
  K. Fujikawa, A. Kobayashi, and H. Amii, Synthesis, 44, 3015 (2012).


2.ジフルオロカルベン種を用いる有機フッ素化合物の精密合成
 ジフルオロカルベン(:CF2)は、最もシンプルなジフルオロメチレン基(-CF2-)導入ブロックである。ジフルオロカルベンはこれまで二量化、シクロプロパン化、OH間挿入反応に用いられてきた。私たちは、ジフルオロカルベンの環化付加反応から合成できる「ボリル基を有する含フッ素合成ブロック」を開発した。ホウ素化ジフルオロシクロプロパンとリチウムカルベノイドとの反応の一例を下記に示す。


  Y. Fujioka and H. Amii, Org. Lett., 10, 769 (2008).

私たちは、高活性ジフルオロカルベン発生源(BrCF2CO2Na)を開発した。BrCF2CO2Naを用いると、従来法では合成が困難であったシロキシジフルオロシクロプロパンを良好な収率で合成することができた。


  K. Oshiro, Y. Morimoto, and H. Amii, Synthesis, 42, 2080 (2010).
  Y. Kageshima, C. Suzuki, K. Oshiro, and H. Amii, Synlett, 26, 63 (2015).

3.フッ素の特徴を活かした触媒的不斉反応の開発

有機フッ素化合物は最近、不斉触媒反応の選択性向上のための溶媒や触媒配位子としてしばしば用いられる。私たちは、フッ素系アルコールの特性を組み入れた不斉配位子(R)-1を開発し、ロジウム錯体触媒による芳香族アルデヒドへの不斉アリール化反応を行った。

  S. Morikawa, K. Michigami, and H, Amii, Org. Lett., 12, 2520 (2010).
  T. Sugiishi, M. Matsugi, H. Hamamoto, and H. Amii, RSC Adv., 5, 17269 (2015).